労使トラブルの現状
近年、労使のトラブルが非常に増えています。厚生労働省が公表した「個別労働紛争下行ける制度」を利用した相談件数が増えており、中でも民事上の個別労働紛争が増加傾向にあります。
トラブルの内容としては、「いじめ・嫌がらせ」「解雇」「その他の労働条件」が最も多くなっています。
2025年度に向けた「働き方改革法」対応の就業規則を整備するにあたり、労使トラブルの現状と増加の背景を正しく理解しておくことは非常に重要です。以下に整理してご説明します。
「個別労働紛争解決制度」とは、平成14年に施行された「個別労働関係紛争の促進に関する法律」に基づき、総合労働相談コーナーにおける相談、労働局長の助言・指導、紛争調整委員会による「あっせん」などを行うものです。
労使トラブルの現状(2024年時点の傾向)
近年、労使間のトラブルは明らかに増加傾向にあります。特に以下のような相談・紛争が急増しています。
| トラブルの内容 | 主な例 |
|---|---|
| 解雇・雇止め | 「突然の解雇通告」「試用期間終了後の一方的な不採用」など |
| ハラスメント | パワハラ、セクハラ、マタハラなどが訴えられるケースが増加 |
| 労働時間 | サービス残業、残業代未払い、長時間労働など |
| 有給・休暇制度 | 有給取得の拒否、育児休業の取得制限など |
| 雇用契約・労働条件 | 契約内容の不明確さ、口約束での雇用条件提示 |
| 労災・安全衛生 | 業務上の事故やメンタルヘルス問題への対応 |
なぜ労使トラブルが増えるのか?(主な要因)
労使トラブルが急増している背景には、次のような複数の要因が絡んでいます。
- 労働者の意識の変化と情報化
- インターネットやSNSの普及により、自分の権利を知る機会が増えた
- 労働者が「泣き寝入りしない」傾向に
外部機関(労基署、ユニオン、弁護士等)への相談も増加
- 働き方の多様化
- 非正規雇用やフリーランス、リモート勤務などが一般化し、曖昧な雇用関係が増えた
- 就業規則や労使契約が現状の働き方に追いついていない
- 企業の労務管理の遅れ
- 就業規則や雇用契約書が古くなっており、最新の法改正に未対応
- ハラスメントやメンタルヘルス対策などの社内体制が未整備
- 制度の義務化と規制強化
- 働き方改革関連法により、企業の法的責任が明確化・強化された
- 例:年5日の有給取得義務化(2019年)
- 残業の上限規制(中小企業は2020年4月施行)
- 同一労働同一賃金や勤務間インターバル制度なども話題に
- 働き方改革関連法により、企業の法的責任が明確化・強化された
2025年に向けての対応のポイント
- 就業規則の見直し・整備(定期的な改訂)
- 雇用契約書や労働条件通知書の明文化と個別対応
- ハラスメント防止規程・相談体制の明記
- テレワークや副業などの制度対応の明文化
- 労働時間の客観的な管理(タイムカード・勤怠システム導入)
- 就業規則の周知義務(掲示・配布・同意確認)
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。