労働者が労働法で守られている項目
2025年度の「働き方改革法」対応の就業規則を作る場合、まずは労働基準法や関連法で労働者がどのように保護されているかを押さえておくことが大切です。 以下は主要なポイントを体系的にまとめます。
労働契約・就業規則で守られる権利
- 労働条件の明示義務(労働基準法第15条)
- 雇用時に労働条件(賃金、労働時間、休憩、休日、契約期間、業務内容等)を書面または電子で明示する義務
- 就業規則の不利益変更には合理性が必要(労働契約法第10条)
- 均等待遇・差別禁止
- 性別・国籍・雇用形態等による差別の禁止(労基法第3条、パートタイム・有期雇用法、育児介護休業法など)
- 同一労働同一賃金の原則(パート・有期・派遣労働者への不合理な待遇差の禁止)
労働時間・休憩・休日に関する保護
- 労働時間の上限(労基法第32条)
- 原則:1日8時間、週40時間
- 36協定があっても残業時間の上限規制あり(2024年度から中小企業も対象、2025年度も適用継続) → 年720時間以内、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内
- 休憩時間(労基法第34条)
- 労働時間が6時間超で45分以上、8時間超で60分以上
- 休日(労基法第35条)
- 少なくとも毎週1日、または4週で4日以上
- 年次有給休暇(労基法第39条)
- 雇入れ6か月後に10日付与(以後勤続年数で増加)
- 年5日分の取得義務(使用者が時季指定可能)
賃金・解雇に関する保護
- 最低賃金法による保障
- 地域別最低賃金を下回る賃金は無効
- 時間外・休日・深夜労働には割増賃金(労基法第37条)
- 解雇規制(労契法第16条)
- 客観的合理的理由と社会的相当性がなければ解雇は無効
- 30日前予告または平均賃金30日分の解雇予告手当
健康・安全面の保護
- 安全配慮義務(労契法第5条、安衛法)
- 職場の安全衛生管理(健康診断、長時間労働者への面談指導など)
- メンタルヘルス対策(ストレスチェック制度)
- ハラスメント防止措置義務(労働施策総合推進法)
- パワハラ・セクハラ・マタハラ防止のための相談窓口設置、再発防止措置
育児・介護・多様な働き方に関する保護
- 育児介護休業法
- 育児休業・介護休業の取得保障
- 2023〜2025年にかけて男性育休(産後パパ育休)や分割取得制度が強化
- 障害者雇用促進法
- 差別禁止、合理的配慮の提供義務
- テレワーク・副業兼業ガイドライン(法的義務ではないが推奨)
- 在宅勤務や副業の条件を明確化
2025年度「働き方改革」関連の注目ポイント
- 医師の時間外労働上限規制が本格適用(医療業界)
- 建設業・運送業にも時間外労働上限規制が適用
→ 就業規則の労働時間条項を業種別に見直す必要あり - 育児休業取得率向上のための新たな公表義務強化(男性育休など)
働き方改革関連法の概要
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。
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