横浜みなとみらい社会保険労務士法人

就業規則の作成ルール

就業規則を作る際には、労働基準法などでルールが明確に定められています。特に「働き方改革関連法」では、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金などがポイントとなり、2025年度からさらに規制や義務化項目が広がります。以下に体系的に整理します。

就業規則作成の基本ルール
  • 常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則の作成・届出が義務。
  • 「事業場ごと」に必要であり、本社・支社・工場など労働条件が異なる場合はそれぞれ作成が必要。
  • 就業規則は、すべての労働者(正社員・契約社員・パート・アルバイトを含む)に適用される内容であること。
  • 作成・変更の際には、労働者代表から意見書を徴収し、労働基準監督署に届け出る必要がある。
事業場ごとの判断基準
  • 就業規則は その事業場に属する全労働者を対象とすることが原則。
  • ただし、職種・雇用形態ごとに労働条件が異なる場合は、**別規程(パートタイム就業規則、嘱託就業規則など)**を設けても良い。
  • 同一事業場内で異なる規則を適用する場合は、その適用範囲を明確にする必要がある。
絶対的記載事項(必ず盛り込むべき内容)

労働基準法第89条に基づき、以下は必ず記載が必要です。

  • 労働契約の期間(有期・無期、更新条件)
  • 就業の場所および従事すべき業務
  • 始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、交替制勤務に関する事項
  • 賃金の決定、計算・支払方法、締切・支払時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇事由を含む)
相対的記載事項(定める場合には必ず記載)

規則で導入する場合は必ず明記すべき内容です。

  • 退職手当(退職金)に関する事項
  • 臨時の賃金(賞与)や最低賃金に関する事項
  • 食費・作業用品などの労働者負担に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償・業務外傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁に関する事項(懲戒の種類と事由)
  • その他、すべての労働者に適用されるルール
任意的記載事項(会社の裁量で定められるもの)

必須ではありませんが、トラブル防止のため盛り込むことが望ましい内容です。

  • 服務規律(服装、SNS利用ルール、ハラスメント防止等)
  • 福利厚生(慶弔見舞金、社員割引、育児・介護支援制度等)
  • 在宅勤務やテレワーク規程
  • 副業・兼業の取り扱い

特に2025年度以降は「働き方改革法」の流れで、勤務間インターバル制度の普及促進、長時間労働抑制、同一労働同一賃金の明確化、年休の計画的付与なども反映しておく必要があります。

働き方改革関連法の概要

就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。

  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  • 労働契約法
  • パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  • 雇用対策法
  • 労働時間等の設定に関する特別措置法
  • じん肺法

段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。

■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行

就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください

働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりではありません。
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就業規則について質問がくることもあり、その際に回答ができなかったり、記載通りに運用できない場合は、メンテナンスが必要になります。
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。

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