異動の定め方②
2026年度に向けて「働き方改革法」に関連する新たな規制や義務化が進む中、就業規則における「異動」の定め方は、これまで以上に重要になります。人事異動や配置転換、出張、出向などは会社の裁量が認められる一方で、定め方を誤ると労使トラブルに発展する可能性もあります。本記事では、就業規則における異動規定の基本的な考え方と注意点を解説します。
出向(在籍出向)の同意に関して
- 在籍出向は、労働契約を維持したまま他社で勤務させる制度です。就業規則や雇用契約書に出向規定があり、包括的同意が認められる場合でも、個別同意を得ることが望ましいです。
- 出向命令権が有効とされるには、業務上の必要性や不利益の程度、対象者選定の合理性などが総合的に判断されます。権利濫用とならない配慮が必要です。
▼社会保険労務士アドバイス
出向は就業規則に根拠規定を設けるだけでなく、出向条件通知書を個別に交付し、賃金・労働時間・評価制度などを明確化することが重要です。不利益変更に該当する場合は特に慎重な説明と同意取得が求められます。トラブル防止のため事前の文書整備を徹底しましょう。
転籍(移籍出向)の同意に関して
- 転籍は、元の会社との労働契約を終了させ、新たな会社と労働契約を締結する仕組みです。労働契約上の地位移転となるため、原則として本人の明確な個別同意が必要です。
- 包括的な事前同意のみで転籍を命じることは困難とされ、賃金や労働条件が変更となる場合は、書面での具体的説明と同意取得が不可欠です。
▼社会保険労務士アドバイス
転籍は実質的に退職と再雇用に近い法的性質を持ちます。退職金の取扱い、勤続年数の通算、社会保険の資格喪失・取得手続きなどを整理し、労働者に十分説明することが重要です。合意書は必ず書面で締結し、記録を残しておきましょう。
出向では労働基準法が双方の会社に適用される
- 在籍出向では、労働契約は出向元に残りつつ、実際の指揮命令は出向先が行います。そのため労働基準法は、事項ごとに出向元・出向先双方に適用されます。
- 転籍の場合は、労働契約が新会社へ完全移転するため、労働基準法上の使用者は転籍先のみとなります。元会社の責任は原則終了します。
▼社会保険労務士アドバイス
在籍出向では、賃金支払義務や安全配慮義務など、どちらの会社が責任主体となるかを出向契約書で明確にしておく必要があります。労災発生時の対応や36協定の適用関係も整理し、二重管理や法令違反を防止する体制を構築しましょう。
その他出向と転籍に関して注意する内容
- 出向・転籍ともに、不利益変更と評価される場合は合理性と相当性が厳しく問われます。家庭事情や健康状態など個別事情への配慮が必要です。
- グループ会社間人事では、出向契約書や個別同意書、労働条件通知書を整備し、責任分担と処遇を明確にすることが重要です。
▼社会保険労務士アドバイス
働き方改革法への対応として、時間外労働規制や同一労働同一賃金の観点も踏まえた異動制度設計が求められます。就業規則・出向契約・労使協定を一体的に見直すことで、企業リスクを最小化できます。専門家によるリーガルチェックを推奨いたします。
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。