差別禁止のルール
2025年度の働き方改革法では、公正な労働環境の整備が一段と求められるようになります。特に「差別の禁止」は、すべての企業が就業規則に明確化すべき重要ポイントです。本記事では、国籍・性別・妊娠出産など、業務に関わりのない理由による不当な扱いを防ぐための基本ルールをわかりやすく解説します。企業のリスク回避と職場の安心づくりにぜひお役立てください。
業務に関わりのない理由で差別してはならない
- 業務遂行に無関係な個人的事情を理由に、不利益取扱いをしてはなりません。
▼社会保険労務士アドバイス
業務に関係のない情報を採用・配置・評価に影響させてしまうと、本人の申告や周囲の指摘をきっかけにトラブルへ発展します。就業規則には「業務関連性がある場合のみ判断する」ことを明記し、面接時に聞いてよい事項・聞いてはいけない事項を社内で統一する運用ルールを定めておくことが効果的です。
国籍などを理由とした差別の禁止
- 国籍・人種・出身地などを理由に、採用・配置・待遇で差別してはなりません。
▼社会保険労務士アドバイス
外国籍労働者の受入れが増える中、国籍を理由にした差別は企業価値の低下にもつながります。ビザ確認や在留資格チェックは必要な手続きですが、それ以外の待遇差を設けないよう規程と実務を一致させることが大切です。多言語の就業規則や、研修機会の平等性を確保する取り組みも企業の信頼性向上に役立ちます。
男女の性による差別の禁止(均等法)
① 雇用管理上の差別の禁止(均等法5~6)
- 性別を理由に採用・昇進・配置・教育などで差別してはなりません。
▼社会保険労務士アドバイス
評価基準や配置基準に性別による前提が含まれていないか、定期的な点検が欠かせません。無意識の固定観念が差別となるケースもあるため、管理職への研修が特に有効です。また、男女で応募できる職種を分けないことや、昇進基準の透明化を就業規則に反映させることでトラブル予防につながります。
② 間接差別の禁止(均等法7)
- 一見中立的な条件でも、性別に不利益が生じる場合は差別とみなされます。
▼社会保険労務士アドバイス
要件設定が結果として特定の性に偏らないかを検証することが重要です。例として「転勤可能な者のみ管理職に登用」などは、実質的に女性を排除する可能性があります。運用面でのリスクを避けるため、要件の見直しや代替措置の検討を行い、就業規則にも明確な判断基準を記載しておきましょう。
③ 妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止(均等法9)
- 妊娠・出産・育休取得を理由に解雇・契約更新拒否などの不利益取扱いは禁止されています。
▼社会保険労務士アドバイス
最も相談が多い領域であり、企業側の誤った理解がトラブルを招きます。妊娠判明後の配置転換、育休取得前後の評価変更などは注意が必要です。就業規則には、妊娠・出産に伴う保護規定や育休取得者へのサポート方針を詳しく記載し、管理職への周知徹底を図ることで企業リスクを大幅に減らせます。
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。