2026年の労働基準法改訂内容
2025年12月18日(日本時間)時点で公表・議論が確認できる資料(厚労省の研究会報告書/審議会議事録など)に基づく、「2026年ごろに改正案提出が見込まれている労基法(周辺制度含む)の主要論点」の整理です。
※現時点では「成立した2026年改正」が一本で確定しているわけではなく、労働政策審議会で制度設計を詰めている段階です。
連続勤務の上限(例:14日以上の連続勤務を禁止=“2週2休”方向)
- 労働者側の権利(強化される方向)
- 長期連勤の抑制(安全配慮・健康確保)
- 休日取得の実効性が上がる(「形式的に週1休」ではなく、実態として休める方向)
- 雇用側の権利・裁量(制約される方向)
- 繁忙期・シフト穴埋めの裁量が減る(交代要員確保が必要)
- 変形労働時間制・シフト設計の自由度が下がる可能性
- 審議でぶつかっている点(典型)
- 例外(災害対応、医療・物流・警備、突発対応)をどこまで認めるか
- 罰則/行政指導/努力義務のどれにするか
- 見通し
- 「連勤を抑える方向性」自体は通りやすい一方、適用除外・経過措置が厚めになる可能性が高い(業種配慮で落としどころ)。
法定休日の「特定(明示)義務」
- 労働者側の権利
- 「いつが法定休日か」が明確になり、休日労働割増や代休運用の透明性が上がる
- 休日の「振替・代替」の運用が見えやすくなる
- 雇用側の権利・裁量
- 現場運用(シフト変更・休日振替)に、就業規則・勤怠システムの整備が必要
- 「休日の曖昧さ」を使った調整がしにくくなる
- 審議でぶつかっている点
- シフト制での明示方法(週ごと確定/月間シフトで確定/一定ルールで特定、など)
- 書面・就業規則・システム上のどこまでを「義務」とするか
- 見通し
- 実務の混乱が比較的少ない論点なので、義務化に寄りやすい(ただし現場配慮の規定設計は厚くなりがち)。
勤務間インターバル(原則11時間など)の義務化
- 労働者側の権利
- 終業〜次の始業までの休息確保(睡眠・回復の最低ライン)
- 長時間労働の“連鎖”を断ちやすい
- 雇用側の権利・裁量(影響が大きい)
- 深夜残業・早朝始業が多い業務で、運用制約が強い
- 突発対応や管理職・専門職の運用が難しくなる可能性
- 審議でぶつかっている点(資料上も明確)
- 「画一的な導入は多様な働き方を阻害する」として反対意見が出ている(どこまで義務にするか、例外をどうするか)。
- 例外:業種、繁忙期、労働者本人の選択(自己申告で短縮?)を認めるか
- インターバル未達時の扱い(始業繰下げ/みなし時間/代替休息など)
- 見通し
- 「原則導入+例外/代替措置+段階施行(大企業→中小)」のような折衷案に落ちる可能性が高いです(全面義務化一本槍は抵抗が強い)。
年次有給休暇中の賃金算定方式の統一(通常賃金方式へ、など)
- 労働者側の権利
- 時給者・日給者などで不利が出にくい算定へ寄せやすい
- 会社ごとの算定差が縮まり、説明可能性が上がる
- 雇用側の権利・裁量
- 給与計算の選択肢が減る(制度設計の自由度が下がる)
- 就業規則・賃金規程、計算システム修正が必要
- 争点
- 既存の計算方式を使っている企業の移行負担(経過措置の長さ)
- 一部業種・賃金形態(歩合等)への適用の作り込み
- 見通し
- 「統一して分かりやすくする」方向は政策的に通しやすいので、実現可能性は高め(経過措置が鍵)。
副業・兼業者の割増賃金(残業)算定ルール見直し
- 労働者側の権利(論点が割れる)
- 合算管理を徹底すると「割増が付く」可能性はあるが、現実には把握・申告の壁もある
- 逆に、合算を緩めると割増が減る可能性があり「保護後退」懸念
- 雇用側の権利・裁量
- 現行の合算前提は実務が重い(他社の労働時間を把握できない)
- ルール変更で管理負担を軽くしたいニーズが強い
- 審議のぶつかりどころ
- 「労働者保護(健康確保・割増賃金)」vs「把握不能な時間を前提に責任を負わせるのは無理」
- 申告制の強化、上限規制との整合、健康確保時間の扱い
- 見通し
- 「健康確保(上限・休息)」は強めつつ、“割増の合算”は現実的運用へという二段構え(=企業負担の現実化)が落としどころになりやすい論点です。
「つながらない権利」(ガイドライン等)
※多くの解説で労基法改正事項として語られますが、現時点では法定権利化というより、指針・ガイドライン(周辺法も含む)で整備する案として語られることが多いです。
- 労働者側の権利
- 就業時間外の連絡対応(チャット・メール・電話)からの保護
- 実質的なサービス残業の抑制
- 雇用側の権利・裁量
- 緊急連絡・顧客対応が必要な業態では運用設計が難しい
- 「完全遮断」にすると事業継続リスクという主張が出やすい
- 争点
- 法律で権利化するか、ガイドラインで運用を促すか
- 例外(事故対応・障害対応・災害等)と手当(待機手当等)の設計
- 見通し
- 日本ではまずガイドライン→労使ルール化(就業規則・手当)→必要なら法整備の順になりやすく、2026時点では「まず指針で固める」寄りになりそうです。
「週44時間特例」の見直し(廃止・縮小)
- 労働者側の権利
- 小規模・特定業種でも週40時間原則へ(労働時間短縮の方向)
- 雇用側の権利・裁量
- 対象業種の中小企業は、人員増・営業時間見直し等の負担
- 地域サービス業などで反発が出やすい
- 争点
- いきなり廃止か、段階的縮小か、代替措置(猶予・助成)をどうするか
- 見通し
- 「原則40時間」の大枠は維持されやすいが、政治的には中小配慮が強く出るため、段階施行+支援策セットになりやすい論点です。
労使コミュニケーション(過半数代表者の選出・支援の法整備)
- 労働者側の権利
- 36協定などの“労働者代表”が形骸化しにくくなる(民主的選出、情報提供、便宜供与、不利益取扱い防止など)
- 協定の正当性が上がる
- 雇用側の権利・裁量
- 代表選出・運用が形式要件化して手間が増える
- 労使協定の手続きミスがリスク化
- 争点
- どこまで法律・省令で「必須手続」にするか
- 代表者の任期、複数選出、教育・相談支援、情報提供義務の範囲
- 見通し
- 研究会報告書の柱の一つで、手続の適正化は通りやすい(企業負担は増えるが、制度の正当性確保として政策整合が取りやすい)。
「労働者」性(プラットフォームワーカー等)—労基法9条周辺の見直し議論
- 労働者側の権利
- 実態として従属性がある働き方(PFワーカー等)を保護対象に寄せたい
- 労働者性判断の予見可能性を上げたい
- 雇用側の権利・裁量
- 「業務委託」として設計しているモデルに影響(人件費・規制コスト増)
- 一律に広げるとイノベーション阻害という主張
- 争点
- どこまでを法律に書くか(判断要素の明確化 vs 画一化リスク)
- 行政解釈・ガイドラインで運用するか、条文改正に踏み込むか
- 見通し
- ここは利害対立が大きく、2026の労基法大改正の中心に入る場合でも、まずは判断枠組みの整理(指針・運用)→段階的に法整備になりやすいです。
全体の結論(2026年改正の中身の捉え方)
- 厚労省の研究会報告書(2025年1月公表)を起点に、審議会で制度設計を詰めており、2026年通常国会への改正案提出→施行は2027年以降に段階的という見立てが多いです。
- 労働者保護(休息・休日・透明化)は強まりやすい一方、企業側の反発が強い領域(勤務間インターバル、兼業割増など)は、例外・代替措置・経過措置で調整される可能性が高いです。
働き方改革関連法の概要
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。
- 労働者側の権利(強化される方向)
- 長期連勤の抑制(安全配慮・健康確保)
- 休日取得の実効性が上がる(「形式的に週1休」ではなく、実態として休める方向)
- 雇用側の権利・裁量(制約される方向)
- 繁忙期・シフト穴埋めの裁量が減る(交代要員確保が必要)
- 変形労働時間制・シフト設計の自由度が下がる可能性
- 審議でぶつかっている点(典型)
- 例外(災害対応、医療・物流・警備、突発対応)をどこまで認めるか
- 罰則/行政指導/努力義務のどれにするか
- 見通し
- 「連勤を抑える方向性」自体は通りやすい一方、適用除外・経過措置が厚めになる可能性が高い(業種配慮で落としどころ)。
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