横浜みなとみらい社会保険労務士法人

休憩時間の定め方

休憩時間は、昼休みの長さを決めるだけでは適切に運用できません。労働基準法では、労働時間の途中に与えること、一斉に与えること、自由に利用させることが原則とされています。電話当番や交替勤務、休憩中の外出など、日常の対応にも注意が必要です。本記事では、休憩時間の基本的なルールと例外を整理し、就業規則の整備や労働時間管理で企業が確認すべきポイントを解説します。

一斉休憩の原則

  • 労働基準法第34条では、休憩時間を原則として事業場の労働者に一斉に与えることを定めています。昼休みを従業員ごとにずらす場合は、業務上の都合だけで判断せず、法令上の例外に該当するか、労使協定が必要かを確認することが大切です。
  • 運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業には、一斉休憩の例外があります。これらの事業では、この例外のための労使協定がなくても交替休憩が可能ですが、休憩そのものは確保する必要があります。
  • 就業規則には、休憩時間や交替で取得する場合の扱いを明確に定めます。一斉休憩中に受付や電話対応を担当する従業員がいる場合、その従業員は同じ時間に休憩できているとは限りません。実際の担当業務と休憩の取得状況を照合することが必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
まず確認したいのは、会社の名称や担当者の職種だけで一斉休憩の例外を判断していないかという点です。事業場の業種区分と実際の事業内容を確認し、交替休憩の根拠を整理しましょう。昼休みに電話当番を置く場合は、担当者が別の時間帯に業務から離れられる体制も必要です。就業規則、当番表、勤怠記録が一致するように整えることが、休憩の未取得を防ぐポイントです。

自由利用の原則

  • 休憩時間は、労働者が仕事から離れて自由に利用できる時間でなければなりません。食事や休息などの過ごし方は本人に委ねるのが原則です。就業規則で昼休みと定めていても、その時間に業務を指示していれば、実態に応じて労働時間として扱う必要があります。
  • 電話が鳴ったら対応するよう求められている時間や、来客に備えて受付で待機する時間は、仕事から離れることが保障されていません。このような手待ち時間は労働時間に当たります。実際に電話や来客が少なくても、それだけで休憩時間になるわけではありません。
  • 休憩中に業務対応が生じた場合は、対応した時間を労働時間として記録し、必要な休憩を勤務の途中で別途確保します。毎日のように休憩が中断される職場では、個人の工夫に任せず、担当者の交替や電話の転送など、業務の仕組みから見直すことが大切です。

▼社会保険労務士アドバイス
勤怠システムが毎日一定の休憩時間を自動控除している場合は、実際の取得状況とずれていないか確認しましょう。休憩中の電話対応や業務指示を把握できる申告・修正の仕組みを設け、管理者にも判断基準を共有することが必要です。業務に対応した時間の賃金計算と、不足した休憩の確保を併せて行い、記録上だけ休憩を取得したことにならない運用を整えることが大切です。

労使協定があれば一斉に休憩を与えなくてよい

  • 一斉休憩の例外業種に該当しない事業でも、所定の労使協定を締結すれば交替で休憩を与えることができます。協定は、事業場の過半数労働組合、これがない場合は労働者の過半数を代表する者との間で、書面により締結する必要があります。
  • 労使協定には、一斉に休憩を与えない労働者の範囲と、その労働者に対する休憩の与え方を定めます。例えば、対象部署や担当業務、交替する時間帯などを具体化します。この協定は労働基準監督署への届出が不要ですが、締結と周知は適切に行う必要があります。
  • 過半数代表者は、協定を締結する目的を明らかにしたうえで、投票や挙手などにより選出します。会社が指名した人や、労働基準法上の管理監督者は代表者にできません。また、この協定で例外にできるのは一斉付与であり、必要な休憩の長さや自由利用ではありません。

▼社会保険労務士アドバイス
交替休憩を導入するときは、協定書を作成するだけでなく、従業員が実際に休める勤務体制まで検討しましょう。担当者の欠勤や繁忙時にも交替できるよう、代替要員と取得時間の確認方法を決めておくことが有効です。協定の対象範囲と就業規則の記載をそろえ、従業員に周知してください。部署や勤務形態が変わった場合も、従来の協定で対応できるかを見直すことが大切です。

特別な責任のある業務は自由に利用させなくてよい

  • 休憩の自由利用には法令上の限定的な例外がありますが、単に責任が重い仕事という理由では制限できません。労働基準法施行規則第33条では、警察官、消防吏員などや、児童自立支援施設で児童と起居をともにする職員など、対象を具体的に定めています。
  • 乳児院、児童養護施設、障害児入所施設で児童と起居をともにする職員については、自由利用の例外を適用するために、あらかじめ所轄労働基準監督署長の許可が必要です。施設に勤務しているだけで、すべての職員が自動的に対象となるわけではありません。
  • 一定の居宅訪問型保育事業で、家庭的保育者として保育を行う労働者にも例外が定められています。ただし、同じ居宅で一人の児童を複数の家庭的保育者が同時に保育する場合は除かれます。一般の保育所や企業の受付業務まで、同じ扱いを広げることはできません。

▼社会保険労務士アドバイス
この例外は、会社の判断や従業員の同意だけで適用できるものではありません。対象施設、業務の内容、勤務の態様、事前許可の要否を確認してください。また、自由利用の例外は、休憩自体を与えなくてよいという意味ではありません。一般企業の責任者や一人勤務の担当者に安易に適用せず、仕事から離れられる時間を確保する方法を検討することが、適切な労働時間管理につながります。

外出を許可制にすることもできる

  • 休憩時間中の外出を許可制にすることは、必ずしも違法となるわけではありません。ただし、許可制であれば会社が自由に外出を拒否できるわけでもありません。休憩の自由利用を保障するという原則を踏まえ、制度の目的と実際の運用を確認する必要があります。
  • 厚生労働省は、自由利用の観点から外出の申し出を不許可にすることは難しく、労働者の同意を得たうえで届出制とすることが望ましいと説明しています。外出の管理が必要な場合は、承認を待たせる仕組みよりも、簡単に届け出られる方法を検討しましょう。
  • 就業規則に外出の手続きを定める際は、届出先や方法、休憩終了までに戻ることなどを明確にします。担当者が不在のため申請できない、承認まで長く待つといった運用は避けたいところです。実務上必要な情報に絞り、休息や食事の時間を確保できる制度にします。

▼社会保険労務士アドバイス
外出管理を設ける場合は、何のために情報を把握するのかを整理し、従業員に説明することが大切です。既存の許可制が形だけになっていたり、管理者ごとに対応が異なったりしていないかも確認しましょう。安全管理などの目的に照らして必要な範囲に手続きをとどめ、届出制への変更も検討してください。外出した人にも社内で休む人にも、業務から離れる時間が保障される運用が必要です。

その他の注意事項

  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。実働6時間ちょうどでは法定休憩は不要ですが、実働8時間ちょうどでは45分以上が必要です。残業によって8時間を超える場合は、合計1時間以上を確保します。
  • 休憩は労働時間の途中に与える必要があり、始業を遅らせたり終業を早めたりする方法では代えられません。分割して与えることは可能ですが、極端に短い休憩では仕事から十分に離れられない場合があります。合計時間だけでなく、実際に自由利用できるかも確認します。
  • 休憩時間は就業規則に記載すべき事項です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・変更時に、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴き、意見書を添えて届け出ます。パートや交替勤務者を含め、勤務形態に合った規定と周知が必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
休憩時間を見直す際は、所定の勤務時間だけでなく、残業が発生した日の運用も確認しましょう。例えば、実働8時間で45分の休憩を設定している場合は、残業により8時間を超えると追加の休憩が必要です。勤怠システムの設定と現場の取得状況を照合し、不足をその日の勤務中に補える体制を整えてください。就業規則の記載、実際の取得、賃金計算を一体で確認することが重要です。

働き方改革関連法の概要

就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。

  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  • 労働契約法
  • パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  • 雇用対策法
  • 労働時間等の設定に関する特別措置法
  • じん肺法

段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。

■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行

就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください

働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりではありません。
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就業規則について質問がくることもあり、その際に回答ができなかったり、記載通りに運用できない場合は、メンテナンスが必要になります。
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。

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