横浜みなとみらい社会保険労務士法人

変形労働時間制の特徴とメリット

2026年度の「働き方改革法」に伴う新たな規制や義務化に備え、就業規則の見直しを進める企業が増えています。なかでも「変形労働時間制」は、業務量に応じて労働時間を柔軟に調整できる制度として注目されています。一方で、制度ごとに締結すべき協定や監督署への届出が異なるため、正しい理解と運用が重要です。今回は、変形労働時間制の特徴やメリット・デメリット、各制度の違いについて解説します。

変形労働時間制の特徴
  • 変形労働時間制は、一定期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間内に収まるよう、日や週ごとの所定労働時間を調整する制度です。
  • 通常は1日8時間、1週40時間が労働時間の原則ですが、変形労働時間制では特定の日や週にこれを超える勤務を設定できる場合があります。
  • 制度を導入する際は、対象期間、対象者、各日の所定労働時間などをあらかじめ明確にし、従業員へ周知することが重要です。

▼社会保険労務士アドバイス
変形労働時間制は、単に勤務時間を自由に変えられる制度ではありません。事前に労働日や所定労働時間を定めることが基本です。就業規則、労使協定、勤怠管理の整合性を確認し、後から残業代トラブルにならない運用が大切です。

変形労働時間制のメリット
  • 繁忙期に所定労働時間を長く、閑散期に短く設定できるため、業務量に合わせた効率的な人員配置を行いやすくなります。
  • 法定の要件を満たしていれば、あらかじめ定めた長時間勤務の日について、直ちに時間外労働とならない場合があります。
  • 季節変動のある業種や、月末月初に業務が集中する企業では、残業の平準化や働き方の見直しにつながる可能性があります。

▼社会保険労務士アドバイス
メリットを活かすには、実際の業務量と所定労働時間の設計が合っているかを確認する必要があります。給与計算上の残業判定も通常勤務と異なるため、勤怠システムの設定や給与計算業務のチェック体制を整えておくことが重要です。

変形労働時間制のデメリット
  • 制度ごとに要件や届出の有無が異なるため、誤った方法で導入すると、労働時間管理や割増賃金の計算に問題が生じる場合があります。
  • 勤務日や所定労働時間を事前に明確にしていないと、従業員が予定を立てにくくなり、不公平感や労務トラブルにつながることがあります。
  • 繁忙期の労働時間が長くなりやすいため、健康管理、休憩、休日の確保、時間外労働の上限管理にも注意が必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
変形労働時間制では「制度を入れたから残業代が不要」と誤解されることがあります。しかし、協定や就業規則で定めた時間を超える勤務、法定休日労働などは別途確認が必要です。36協定や勤怠記録と合わせて運用状況を点検しましょう。

1カ月単位の変形労働時間制
  • 1カ月単位の変形労働時間制は、1カ月以内の一定期間を平均して、1週間の労働時間が原則40時間以内となるよう設定する制度です。
  • 月末月初、シフト勤務、店舗運営など、月内で繁閑差がある事業場に適しています。各日、各週の所定労働時間を事前に定めることが必要です。
  • 導入は、労使協定または就業規則等で定める方法があります。労使協定で定めた場合は、所轄労働基準監督署への届出が必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
1カ月単位の場合、労使協定が常に必須とは限りませんが、就業規則等への明記は重要です。常時10人以上の事業場では就業規則の作成・変更届も関係します。シフト表の作成時期、変更ルール、給与計算との連動を事前に確認しましょう。

1週間単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の変形労働時間制は、1週間ごとの業務量に応じて、日ごとの所定労働時間を柔軟に定める制度です。
  • 対象となる事業や規模には要件があり、一般的には小売業、旅館、料理店、飲食店などで、一定規模未満の事業場が想定されています。
  • 導入には労使協定の締結が必要です。また、締結した労使協定は、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。

▼社会保険労務士アドバイス
1週間単位の制度は使える業種や事業場規模が限られるため、導入前の要件確認が特に重要です。週ごとの勤務予定を直前に決める場合でも、従業員への通知方法や勤怠管理を明確にし、急な変更が常態化しないよう注意しましょう。

1年単位の変形労働時間制
  • 1年単位の変形労働時間制は、1カ月を超え1年以内の対象期間を平均して、1週間の労働時間が40時間以内となるよう設定する制度です。
  • 季節ごとの繁閑差が大きい業種に適しており、対象期間、起算日、労働日、労働日ごとの所定労働時間などを定める必要があります。
  • 導入には労使協定の締結が必要です。締結した労使協定は、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。

▼社会保険労務士アドバイス
1年単位では、年間カレンダーの設計が実務上の要になります。労働日数、連続労働、特定期間、残業上限との関係を確認しないと、長時間労働につながるおそれがあります。就業規則、36協定、勤怠システムを一体で見直すことが大切です。

フレックスタイム制
  • フレックスタイム制は、一定の清算期間内で定めた総労働時間の範囲内において、始業・終業時刻を従業員に委ねる制度です。
  • コアタイムを設ける場合と設けない場合があり、育児、介護、通勤混雑の回避など、多様な働き方に対応しやすい制度です。
  • 導入には就業規則等への定めと労使協定の締結が必要です。清算期間が1カ月を超える場合は、労働基準監督署への届出も必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
フレックスタイム制は、従業員に勤務時刻の裁量を与える一方で、会社の労働時間管理義務がなくなる制度ではありません。清算期間、標準となる1日の労働時間、不足時間や超過時間の扱いを明確にし、給与計算と勤怠管理を連動させましょう。

その他の注意事項
  • 変形労働時間制を導入しても、協定や就業規則で定めた所定労働時間を超える労働については、時間外労働となる場合があります。
  • 法定労働時間を超える時間外労働や法定休日労働を行わせる場合は、変形労働時間制とは別に36協定の締結・届出が必要です。
  • 運用開始後も、実際の勤怠記録、休憩時間、休日取得、割増賃金の支払い状況を定期的に確認し、制度と実態のずれを防ぐ必要があります。

▼社会保険労務士アドバイス
変形労働時間制は、導入書類を整えるだけでなく、日々の運用が適正であることが重要です。就業規則の見直し、労使協定の作成、労働基準監督署への届出、給与計算、勤怠システム設定まで、専門家に確認しながら進めると安心です。

働き方改革関連法の概要

就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。

  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  • 労働契約法
  • パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  • 雇用対策法
  • 労働時間等の設定に関する特別措置法
  • じん肺法

段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。

■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行

就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください

働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりではありません。
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就業規則について質問がくることもあり、その際に回答ができなかったり、記載通りに運用できない場合は、メンテナンスが必要になります。
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。

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