横浜みなとみらい社会保険労務士法人

フレックスタイム制の定め方

フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時刻を柔軟に決められる制度ですが、導入には就業規則や労使協定の整備が欠かせません。労働時間の清算、割増賃金、時間外労働規制との関係を正しく理解し、実務上のトラブルを防ぐことが大切です。

フレックスタイム制とは
  • フレックスタイム制は、一定の清算期間を定め、その期間内で従業員が日々の始業時刻や終業時刻を自ら決められる労働時間制度です。
  • 通常の固定時間勤務と異なり、1日ごとの始業・終業時刻を会社が一律に指定しないため、業務状況や生活事情に合わせた働き方がしやすくなります。
  • 導入にあたっては、就業規則等に始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定め、労使協定で必要事項を定めることが求められます。

▼社会保険労務士アドバイス
フレックスタイム制は柔軟な働き方を実現できる一方、単に出退勤を自由にする制度ではありません。対象者、清算期間、総労働時間、勤怠管理の方法を明確にし、就業規則と実際の運用にズレがないか確認することが重要です。

就業規則のコアタイムとフレキシブルタイム
  • コアタイムとは、フレックスタイム制の中でも従業員が必ず勤務しなければならない時間帯をいいます。設定するかどうかは任意です。
  • フレキシブルタイムとは、その時間帯の中であれば従業員が出社・退社時刻を選択できる時間帯です。こちらも制度設計に応じて定めます。
  • コアタイムを長く設定しすぎると、実質的に通常勤務と変わらず、フレックスタイム制としての柔軟性が低くなる場合があります。

▼社会保険労務士アドバイス
就業規則では、コアタイムとフレキシブルタイムの有無、時間帯、休憩時間との関係を具体的に定めることが大切です。実務では、会議時間や顧客対応時間を踏まえ、業務に支障が出ない範囲で設計する必要があります。

労使協定で定めるべき事項
  • 労使協定では、対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間などを定めます。
  • コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合は、その時間帯も労使協定で定めることが一般的です。制度内容と実態の一致が重要です。
  • 清算期間は3か月以内で設定できますが、1か月を超える場合には、労使協定を労働基準監督署へ届け出る必要があります。

▼社会保険労務士アドバイス
労使協定は、制度の根幹となる重要書類です。特に対象者の範囲や清算期間中の総労働時間が曖昧だと、給与計算や時間外労働の判断でトラブルになる場合があります。導入前に協定内容を慎重に確認しましょう。

割増賃金の支払い
  • フレックスタイム制でも、清算期間における実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合には、時間外労働として割増賃金の対象となります。
  • 清算期間内のある日に長く働いたとしても、それだけで直ちに時間外労働になるとは限らず、原則として清算期間全体で判断します。
  • 深夜労働や法定休日労働が発生した場合は、フレックスタイム制であっても別途割増賃金の支払いが必要となる場合があります。

▼社会保険労務士アドバイス
割増賃金の計算では、清算期間中の総労働時間、法定労働時間の総枠、深夜・休日労働の有無を分けて確認する必要があります。勤怠システムや給与計算業務で集計方法を誤ると未払い賃金につながるため注意が必要です。

他の時間外労働規制との関係
  • フレックスタイム制を導入しても、労働基準法上の時間外労働規制がなくなるわけではありません。36協定との関係も確認が必要です。
  • 清算期間が1か月を超える場合は、各月ごとに週平均50時間を超える労働時間について、時間外労働として扱われる場合があります。
  • 時間外労働の上限規制、健康管理、長時間労働対策は、フレックスタイム制の対象者にも適切に行う必要があります。

▼社会保険労務士アドバイス
フレックスタイム制は、労働時間を自由にして上限管理を不要にする制度ではありません。36協定、時間外労働の上限規制、医師の面接指導や健康確保措置との関係を整理し、長時間労働を早期に把握できる体制を整えましょう。

労働時間(超過労働時間・不足労働時間)は一定期間で清算する
  • フレックスタイム制では、あらかじめ定めた清算期間において、実際の労働時間と清算期間中の総労働時間を比較して過不足を確認します。
  • 実労働時間が清算期間中の総労働時間を超えた場合は、超過分について賃金支払いの対象となり、法定労働時間を超える部分は割増賃金の確認が必要です。
  • 実労働時間が不足した場合の取扱いは、賃金控除、翌清算期間への繰越しの可否など、制度内容に応じた慎重な整理が必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
超過労働時間と不足労働時間の清算方法は、給与計算に直結します。不足時間を安易に翌月へ繰り越すと、労働時間管理や賃金計算が複雑になる場合があります。就業規則や賃金規程に明確なルールを設けることが大切です。

フレックスタイム制の規定項目
  • 就業規則には、フレックスタイム制を適用する対象者、始業・終業時刻を従業員の決定に委ねること、休憩時間の取扱いなどを定めます。
  • 労使協定には、清算期間、起算日、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間、コアタイム等を定めることが重要です。
  • 勤怠申請、遅刻・早退の考え方、欠勤、有給休暇取得日の標準労働時間なども、実務上は規定しておくと運用が安定します。

▼社会保険労務士アドバイス
規定項目は、法律上必要な事項だけでなく、実際の勤怠管理や給与計算で迷いやすい点まで含めて整備することが望ましいです。特に有給休暇、半日休暇、遅刻・早退、在宅勤務との関係は事前に確認しておきましょう。

その他の注意事項
  • フレックスタイム制は、業務の性質や職種によって向き不向きがあります。顧客対応やチーム業務が多い職場では、連携方法の検討が必要です。
  • 勤怠管理を従業員任せにしすぎると、労働時間の把握漏れや長時間労働の見落としが生じる場合があります。客観的な記録が重要です。
  • 制度導入後も、労働時間の実績、残業状況、従業員からの相談内容を定期的に確認し、必要に応じて規程や運用を見直すことが大切です。

▼社会保険労務士アドバイス
フレックスタイム制は、導入時の規程整備だけでなく、導入後の運用確認が重要です。勤怠システムの設定、管理職への説明、従業員への周知を行い、労務相談や就業規則の見直しを通じてトラブルを予防しましょう。

働き方改革関連法の概要

就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。

  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  • 労働契約法
  • パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  • 雇用対策法
  • 労働時間等の設定に関する特別措置法
  • じん肺法

段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。

■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行

就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください

働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりではありません。
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就業規則について質問がくることもあり、その際に回答ができなかったり、記載通りに運用できない場合は、メンテナンスが必要になります。
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。

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