横浜みなとみらい社会保険労務士法人

1週間単位の非定型的変形労働時間制の定め方

1週間単位の非定型的変形労働時間制は、日ごとの繁閑差が大きい事業場で、労働時間を柔軟に配分するための制度です。ただし、対象事業や労使協定、届出、事前通知などの要件を誤ると、労務トラブルにつながる場合があります。

変形労働時間制とは
  • 変形労働時間制とは、一定期間を平均して法定労働時間の範囲内に収まるよう、日や週によって所定労働時間を変動させる制度です。業務量に波がある企業では、就業規則や労使協定を整備することで、実態に合った労働時間管理を行いやすくなります。
  • 代表的な制度には、1か月単位、1年単位、フレックスタイム制、1週間単位の非定型的変形労働時間制があります。それぞれ対象となる業務や導入手続きが異なるため、自社の勤務実態に合う制度かを慎重に確認することが大切です。
  • 変形労働時間制を導入しても、休憩、休日、深夜労働、割増賃金などのルールがなくなるわけではありません。実際の労働時間を適切に把握し、時間外労働が発生する場合には、36協定や給与計算への反映も必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
変形労働時間制とは、単にシフトを柔軟にする制度ではなく、就業規則、労使協定、勤怠管理、給与計算が連動して初めて適正に運用できます。導入前に、現場の勤務実態と法定労働時間の管理方法を確認することが重要です。

1週間単位の非定型的変形労働時間制とは
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制は、日ごとの業務量に著しい繁閑差があり、あらかじめ各日の労働時間を特定しにくい場合に、1週間を単位として労働時間を配分する制度です。制度の趣旨は、業務量に応じた効率的な労働時間配分にあります。
  • この制度を利用できる事業は、小売業、旅館、料理店、飲食店の事業とされ、常時使用する労働者数が30人未満の事業場に限られます。対象に該当するかは、会社全体ではなく事業場単位で確認する必要があります。
  • 1週間の労働時間は40時間以内に収める必要があり、各日の労働時間は10時間を上限として設定します。忙しい日に長く働かせることができる一方で、週全体の労働時間管理を誤ると時間外労働となる場合があります。

▼社会保険労務士アドバイス
1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、対象業種と事業場規模が限定された制度です。横浜・神奈川エリアの飲食店や小売店でも、常時使用する労働者数や業務の繁閑実態を確認し、制度の適用可否を判断することが大切です。

労使協定の締結
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入するには、使用者と労働者代表との間で労使協定を締結する必要があります。過半数労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は過半数代表者との協定が必要です。
  • 労使協定では、対象となる労働者の範囲、1週間の所定労働時間、各日の労働時間の通知方法、有効期間などを明確に定めることが実務上重要です。曖昧な協定内容では、運用時に認識の違いが生じるおそれがあります。
  • 労働者代表の選出は、使用者の意向によって選ばれた者ではなく、民主的な手続きによる必要があります。代表者の選出過程に問題があると、協定の有効性が争われる場合があるため注意が必要です。

▼社会保険労務士アドバイス
労使協定の締結では、制度名だけを記載するのではなく、対象者、労働時間の上限、通知方法、運用ルールを具体的に定めることが重要です。あわせて就業規則にも関連規定を整備し、現場で説明できる状態にしておきましょう。

労使協定の届出
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定は、所轄労働基準監督署長への届出が必要です。届出は、労働基準法施行規則の様式に基づいて行うものとされています。
  • 労使協定を締結していても、必要な届出がされていない場合には、制度を適正に運用しているとはいえない可能性があります。導入時だけでなく、協定の更新や内容変更がある場合にも届出漏れに注意が必要です。
  • 届出後は、協定書の控えを保管し、就業規則、シフト表、勤怠記録、給与計算資料と整合しているか確認します。労働基準監督署の調査時には、制度の運用実態を説明できる書類管理が求められます。

▼社会保険労務士アドバイス
労使協定の届出は、形式的な手続きに見えても制度運用の前提となる重要な対応です。協定書の作成、代表者選出、届出、控えの保管まで一連の流れを確認し、労働時間管理の証拠書類として整理しておくことが大切です。

労働基準法32条の5
  • 労働基準法32条の5は、1週間単位の非定型的変形労働時間制の根拠となる条文です。小売業、旅館、料理店、飲食店など一定の事業で、労使協定により1週間40時間以内の範囲で労働させることができる旨が定められています。
  • 同制度では、1日の労働時間を10時間までとすることができますが、無制限に長時間労働を認めるものではありません。週40時間を超える部分や、制度の要件を満たさない労働時間については、時間外労働としての確認が必要です。
  • 制度を適用する場合、1週間の各日の労働時間を、少なくともその週が始まる前までに書面で労働者へ通知する必要があります。緊急でやむを得ない事情がある場合でも、変更しようとする日の前日までの書面通知が求められます。

▼社会保険労務士アドバイス
労働基準法32の5を運用する際は、条文上の要件だけでなく、シフト作成のタイミングや通知方法まで実務に落とし込む必要があります。口頭や直前の変更が常態化すると、労働時間トラブルにつながるため注意しましょう。

労働基準法施行規則(厚生労働省令)12条の5
  • 労基則12条の5は、1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する届出様式など、手続き面に関わる規定です。労使協定の届出は、所定の様式により所轄労働基準監督署長へ行う必要があります。
  • 実務上は、協定書に制度の対象者、1週間の所定労働時間、各日の労働時間の通知方法、有効期間などを記載し、様式の内容と矛盾しないように整備します。記載内容が不十分な場合、運用時に確認を求められることがあります。
  • 労基則の様式や提出先は、法改正や電子申請の運用状況により確認が必要です。届出を行う際は、最新の様式を確認し、会社控え、協定書原本、労働者代表の選出記録をあわせて保管しておくと安心です。

▼社会保険労務士アドバイス
労基則12の5に基づく届出では、最新様式の確認と記載内容の整合性が重要です。就業規則、労使協定、シフト表、勤怠システムの設定が一致していないと、制度の説明が難しくなるため、導入前に総点検しましょう。

その他の注意事項
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制では、労働者の都合を事前に聴くなど、労働者の意思を尊重するよう努めることが求められています。育児、介護、通学、副業などの事情がある労働者には、勤務調整への配慮が必要です。
  • 制度を導入しても、休憩時間、休日、深夜割増、年次有給休暇、36協定の管理は引き続き必要です。特に、実労働時間が週40時間を超えた場合や休日労働が発生した場合には、割増賃金の計算を確認する必要があります。
  • シフト変更は、緊急でやむを得ない事情がある場合に限られ、使用者側の単なる都合だけでは認められにくいと考えられます。天候急変など客観的な事情があるか、変更前日の書面通知ができているかを確認しましょう。

▼社会保険労務士アドバイス
その他の注意事項として、制度導入後の運用チェックが欠かせません。勤怠記録、シフト通知、割増賃金、労働者への説明資料を定期的に確認し、必要に応じて就業規則の見直しや労務相談を活用することが予防策になります。

働き方改革関連法の概要

就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。

  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
≪多岐にわたる改正内容を一括審議するため、次の8つの法律を中心に構成されています≫
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
  • 労働契約法
  • パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
  • 雇用対策法
  • 労働時間等の設定に関する特別措置法
  • じん肺法

段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。

■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行

就業規則を運用するため顧問契約をご検討ください

働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりではありません。
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就業規則について質問がくることもあり、その際に回答ができなかったり、記載通りに運用できない場合は、メンテナンスが必要になります。
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。

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