事業場外労働の定め方
営業職の外回りや出張など、会社の外で働く業務では、労働時間をどのように把握し、就業規則に定めるかが重要です。事業場外労働のみなし労働時間制は便利な制度ですが、適用できる場面は限られます。制度の基本と実務上の注意点を確認しましょう。
事業場外労働とは
- 事業場外労働とは、会社の事務所や店舗など通常の勤務場所を離れて業務を行う働き方をいいます。営業活動、出張、現地調査、顧客先での作業などが代表例です。
- 会社の外で働く場合でも、当然に労働時間管理が不要になるわけではありません。使用者には、労働時間の状況を適切に把握し、賃金計算へ反映する責任があります。
- 事業場外労働については、実際の労働時間を把握しにくい場合に限り、一定時間働いたものとみなす制度が認められることがあります。適用可否の確認が重要です。
▼社会保険労務士アドバイス
事業場外で働く従業員がいる企業では、まず対象となる業務内容、指揮命令の方法、勤怠報告の実態を整理することが大切です。就業規則に抽象的な定めだけを置くと、残業代や労働時間をめぐるトラブルにつながる場合があります。
実際の労働時間を採用しない「みなし労働時間制」とは
- 事業場外みなし労働時間制は、事業場外で業務を行い、労働時間を算定し難い場合に、一定の時間働いたものとして扱う制度です。単に外出が多いだけでは足りません。
- 原則として、所定労働時間働いたものとみなすことができます。ただし、通常その業務を行うために所定労働時間を超える必要がある場合は、通常必要な時間を検討します。
- みなし労働時間が法定労働時間を超える場合には、時間外労働や割増賃金、36協定との関係も確認が必要です。制度を定めても、残業代が不要になるとは限りません。
▼社会保険労務士アドバイス
みなし労働時間制を導入する際は、就業規則に対象業務、みなす時間、勤怠報告方法、時間外労働の取扱いを明確に定めることが重要です。実態と規定が合っていない場合、後から未払い賃金の問題になる可能性があります。
出張などは所定労働時間の労働とみなすことが可能
- 出張中は、移動先での業務状況を会社が常に直接確認できないことがあります。このような場合、労働時間の算定が困難であれば、所定労働時間労働したものと扱える場合があります。
- ただし、出張であってもスケジュールが会社から細かく指定され、開始時刻や終了時刻を具体的に把握できる場合は、実際の労働時間で管理すべき可能性があります。
- 出張時の移動時間、待機時間、宿泊を伴う場合の取扱いは、業務命令の内容や拘束の程度によって判断が分かれることがあります。社内ルールを事前に整理しましょう。
▼社会保険労務士アドバイス
出張規程と就業規則の内容が一致していないと、勤怠管理や給与計算で判断に迷うことがあります。出張時の日当、移動時間、休日出張、深夜業務の取扱いを確認し、必要に応じて規程整備を行うことが大切です。
| 労働時間を算定しがたい時 | ||
| 原則 | ①所定労働時間 労働したものとみなす |
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| 通常、所定労働時間を超える場合 | 労働協定を締結しない場合 | ②通常必要とされる時間 労働したものとみなす |
| 労働協定を締結した場合 | ③協定で定めた時間 労働したのもとみなす |
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事業場外労働が適用されない場合
- 携帯電話、チャット、勤怠システムなどにより、会社が随時具体的な指示を出し、業務の進行や終了時刻を把握できる場合は、労働時間の算定が困難とはいえない可能性があります。
- 訪問先、訪問時刻、業務内容、帰社時刻があらかじめ細かく決められている場合には、事業場外で働いていても実際の労働時間を管理できると判断されることがあります。
- 外勤後に会社へ戻って内勤業務を行う場合や、事業場外労働と社内業務が混在する場合は、それぞれの時間管理をどのように行うか個別に確認する必要があります。
▼社会保険労務士アドバイス
近年はスマートフォンや勤怠システムの普及により、外出先でも労働時間を把握しやすくなっています。制度名だけで適用を判断せず、実際の指示方法や報告体制を確認し、必要に応じて運用を見直しましょう。
その他の注意事項
- 事業場外みなし労働時間制を導入する場合でも、深夜労働、休日労働、法定労働時間を超える労働については、割増賃金の対象となる場合があります。給与計算上の確認が必要です。
- 対象者や対象業務を広く定めすぎると、実態に合わない運用となるおそれがあります。営業職全員など一律に適用するのではなく、業務ごとの実態を確認することが重要です。
- 就業規則に定める際は、労働時間の把握方法、業務報告の方法、時間外労働の事前申請、直行直帰時の取扱いなどを具体的に記載しておくと、トラブル予防につながります。
▼社会保険労務士アドバイス
制度を適切に運用するには、就業規則の整備だけでなく、管理職への説明や勤怠システムとの連携も欠かせません。実態に合わない運用を続けると、労働基準監督署対応や未払い賃金請求のリスクが高まる場合があります。
就業規則は、働き方改革関連法の対応を視野に入れて作成する必要があります。
法改正は企業にとって非常に重要な内容となります。
働き方改革関連法の改正の主な柱は、以下となります。
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)
- 労働契約法
- パート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
- 雇用対策法
- 労働時間等の設定に関する特別措置法
- じん肺法
段階的に施行されるため、いつから、どのような改正が行われるかをチェックしておく必要があります。また中小企業や一部業務等に猶予措置などもあります。
■参考書籍■
THE FIRST STEP! 就業規則をつくるならこの1冊【第6版】
社会保険労務士 岡田良則箸
株式会社自由国民社 発行
働き方改革関連法の改正は、都度行われ、施行開始時期に合わせてアップデートも必要です。従いまして、就業規則は一度作成したら終わりでは
また就業規則は作成した後の運用が大切です。作成した就業規則は従業員に周知しなければならず、従業員から就
そのような理由から、当事務所にて就業規則を作成する場合は、顧問契約をご検討頂いております。